論語 郷党 其の五 《long》

論語

毎度ぉ~!はらしま(@tyj_harashima)です 日曜のお楽しみ!論語の一節を紹介しています 今回も先週、先々週に引き続き礼儀の話になりますが、今度は孔子が使者として他国へ行く際の話です 今回も「○○如じょたり」、「○○如ごとし(く)」が頻発しています なるべく省かず紹介する気でいますが.…どうなるやら それでは、お付き合いください

原文・訳

執圭、鞠躬如也。如不勝。上如揖、下如授。勃如戰色。足蹜蹜如有循。享禮有容色。私覿愉愉如也。

けいれば、きくきゅうじょたり。えざるがごとし。ぐることはゆうするが如く、ろすことはさずくるが如し。勃如ぼつじょとしてせんしょくあり。あし蹜蹜しゅくしゅくとしてしたがう有るが如し。きょうれいにはようしょくり。覿てきには愉愉ゆゆじょたり。

解説・意訳

まずは漢字の説明をしていきます 「圭」とは、諸侯の身分を示すぎょくのことをいいます(諸侯:日本の大名のような存在です 玉:美しく貴い石のことです) 「鞠躬如たり」は先週も登場しています「おそれ慎む」です 「揖する」は先々週です「胸の前で組み合わせた両手を前に出し、上下させて会釈する」という意味になります

続いて「勃如」も先々週、これは「緊張した様子」で、「戦色」は「恐れおののくさま」です 「蹜蹜」は鞠躬如と同じ ” おそれ慎む ” という意味ですが、こちらは「(恐怖で)縮こまる」という意味の方が近いです 「亨礼」は「君主からの贈り物を進呈する儀礼」、「容色」とは、顔やスタイル(美貌・容姿)がいいことをいいますが、ここでは「ゆったりした様子」という意味で使います 「私覿」は「使者が選んで持ってきた贈り物を進呈する儀式」のことです 最後の「愉愉如たり」は「楽しげな様子」を表すオノマトペになります 以上を踏まえて意訳していくと…

(孔子は他国へ使いに行くとき、使者の印として自国の君主の「玉」=)圭を手に持つときは、おそれ慎んだ。自分がその役割に耐えられないくらいに。(圭を)上に上げるときは会釈するように、下すときは(他の人に)手渡すような動作をした。 顔は緊張でこわばり、足は恐怖に縮み上がり後ろをついて行くのがやっとだった (この儀式が済んで)享礼の儀式になると緊張は解けてゆったりとし、私覿の儀式になると楽しげな様子であった となります

前半部分が少し難しいので砕けた訳をすると、大事な用事を頼まれた孔子は大切な「玉」を持って他所の国へ行くことになりました 自分の命と同じくらい大切な玉の取り扱いには細心の注意を払った どれくらい大切に扱ったかというと、上に上げるときは玉を頭より高く掲げてお辞儀するように…、下げるときは差し出すような仕草をした となります

要するに、相手の国へ入国するとき、「玉」だけが頼りなワケです(使者である証明ですからね) ここで疑われると命の危険もある…それくらい大事で緊張する場面なのです なので、相手の指示に従ってついて行くのがやっとなくらい足も恐怖に縮み上がっているのです その大事な入国審査?が済んで相手国の君主に亨礼(自国の君主から預かった贈り物を進呈する儀式)のときには、いくらか緊張もほぐれてゆったりした表情となり、私覿(使者が選んで持ってきた贈り物を進呈する儀式)の頃には楽しそうな様子で過ごした という話です

参考にしている書籍には「孔子が使者として他国に赴いた際の行動や身振りを記したモノ」だとされる一方で「孔子は使者として他国へ赴いたことはない」という説もあるそうです 文面からは赴いてそうに思えるけど、別の人の話なのかな? 真実は如何に…なんてナ

Harashimaがアレコレ述べる章

今回も前段が長くなってしまったので、今週もここは手短にします

誰にでも起こる話として、全く知らない未知のコミュニティ(集団や組織)に入る状況と同じです 最初は緊張でガチガチになって、言われるまま受け入れるしかない(郷に入っては郷に従え)ですよね そうして少しずつコミュニティに馴染んでいき、緊張もほぐれていくものです

しかし、その過程において「なんじゃそりゃ?!」と思える謎ルールであったり、とんでもない(生理的に受け付けない)人がいたりします そんなのがあったり、いてもいいけど関わりたくないですよね 特に謎ルールに関して言えば、時代にそぐわなくなっているモノや、もっと合理的にすることができる余地があるのに「ここではこう決まってる」で押し通すだけのステレオタイプもいます(国レベルでも…)

最初は良かったけれど長く所属し続けるうちに嫌な面、おかしな面、ダメな部分が目につくようになってきます(徐々に乱れていく場合もあります) どっぷり浸ってる人には気づかないだろうし居心地は変わらないのだろうけど、他所を知らない「井の中の蛙」になっています 立ち上げた当初は『テセウスの船』だったかもしれないけど、時間の経過とともに別のモノになってしまう…よくある話です

おっと、手短に済ますつもりが何の話をしているのだ?…戻します

他所の国にお世話になるには「玉」という通行手形?が必要だった時代とは違い、今はパスポート(身元を証明する旅券)があります この先はパスポートもデジタル化されるかもね 変わりゆく世の中の進歩に取り残されてアップデートしないと淘汰されるし、逆に、変化のスピードに飲み込まれてしまうと大切なモノ(マナーやモラル、秩序)まで失ってしまい、乱れますよ バランスが大切です

また来週!

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