論語 子罕 其の二十九 《middle》

論語

毎度ぉ~!はらしま(@tyj_harashima)です 日曜のお楽しみ!論語の一節を紹介しています 今回は「松柏の質」という言葉の元となる一節です 言葉の意味など詳しい内容は後述しますが、とてもグッとくる話になります それでは、お付き合いください

原文・訳

子曰、歲寒、然後知松柏之後彫也。

子曰く、歳寒としさむくして、しかのち松柏しょうはくしぼむにおくるることを知る也。

解説・意訳

まずは漢字の説明をしていきます 「歳寒く」の歳は季節のことで「冬」のことです 「松柏」は松と柏のことで「常緑樹」のことになります 「彫む」は「萎む」と同じです 以上を踏まえて意訳していくと

先生は言った「寒い季節となって、そうしてやっと松や柏が萎まないことがわかる」となります

要するに、松や柏のような常緑樹は冬でも枯れることなく一年中緑を保ちます その生命力や力強さを称えているのです 「後るることを知る也」は「後から気づく」というような意味で、「冬になって、はじめて気づいた」といった感じになります

話の内容については、松や柏を人に見立てた話で「寒い季節(冬)」というのは「苦境や逆境」のことを表し「萎む」というのは「心が折れる」といった感じになります なので『松や柏のような強い人は苦境や逆境に対しても信念を貫き、心が折れることがない』というようなことをいっています

これが「松柏の質」という言葉の元になっているのですが、常緑樹は冬でも葉を茂らせるので、たくましいイメージがあるのでしょう 苦境や逆境は人間の成長を促す試練のようなモノです また、苦境や逆境に対して立ち向かっていくタイプかどうか、その人の本質を試される場面でもあります 近年あまり言わない聞かない言葉になっていますが、物事を任せるには「松柏の質」を持った人物が適していると思います

Harashimaがアレコレ述べる章

誰でも、できれば逆境や苦境に陥るようなことは避けたいところですが、フツーに過ごしていても判断が難しい場面や精神的に厳しい状況は訪れます そうなった時に後回しにしたり、見えない振りをしたり、逃げ出したりせずに向き合い、考え、乗り越えていくのが「松柏の質」ですが…そう簡単ではないよね 「言うは易し、行うは難し」です 実際は…

しかし、ヒトが成長する(戦闘力を高める)のに必要なのも逆境や苦境だと思います 乗り越えれば新しいステージに進む、そんなイメージです では、どうやって乗り越えるのか? それは、順境(平時:フツー)の時に準備しておくことです 身近な例を挙げると避難訓練などがそれに当たります

ここで一つ、個人的に「好例」だと思った話をします ボクサー井上尚弥の話です 前の試合(vsルイス・ネリ)で試合開始直後の1R目にプロ入り初のダウンを喫しました(ヒヤッとした方も多かったのではないでしょうか?) あの時、スリッピング・アウェー(パンチが来る方向に顔や身体を背けてパンチを受け流し、威力を低減する技術)で吹き飛ばされたように大きく倒れたので、知らない方は余計に驚いたと思います

ダメージのほどは分かりませんが、ゼロではないはずなのでカウント8まで座って回復に努めました(カウント8までに立上がらないと戦意喪失と判断される場合もある) ここから逆転でKOして勝つのですが「座って回復に努めた」が重要なのです なぜかというと、ダウン後にすぐ立ち上がると脳が揺れていたり、焦点が定まらずフラついたりするのでギリギリまで座ってジッとしている方が回復するのです

で、スゴいのはここから 井上尚弥はそれを知っていたから「ダウンした時の練習」もしていたそうです 知っていて練習したからダウンしても(逆境や苦境に陥っても)パニックを起こさず冷静に座って回復していられたのです これが「順境時に危機に対して準備する」だと思います

どうしても「相手をブッ倒す」ことに注力しがちですが、自分がピンチに陥った時の練習をする人は珍しいように思います そういう見えない部分の練習も抜かりなくしておくことで、よりオフェンスに集中できるのかもしれませんね 派手なパフォーマンスの裏に地道な努力があるのですよ

少し根性論的な要素を含む話になってしまいましたが、個人的には根性・根気・根を詰めるなどの地味でキツいことを地道に続けることで「松柏の質」というのは身に付き、それが戦闘力に繋がると考えています 昨今、根性論に否定的な意見が多いですが「手に入れたければやれ」です …まさに言うは易し、行うは難しですね

それでは、また来週!

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